資産形成を考えていくとiDeCoの話題がよく持ち上がります。NISA制度と比較されることもありますが、iDeCoにはNISAよりもクセが強い部分があります。そのクセについて考え、FIREとの相性を考えてみます。
iDeCoの特徴
FIREを目指す上で考慮するべきiDeCoのクセ強な部分は、概ね以下の通りだと思います。
特徴① 運用益非課税
これはNISAと同じで、iDeCoの口座で運用して得られた含み益は全て非課税となります。どこの金融機関で口座を開いたかによって、購入できる投資商品が変わるため、iDeCoの口座開設をするときには買いたい商品があるかどうかを調べてから開設するのもおすすめです。
とはいえ、楽天証券やSBI証券といった有名どころの証券会社であれば、手数料の安い優良ファンドが買えると思われます。
特徴② 拠出金が全額所得控除になる
iDeCoに毎月積み立てることができる金額は会社員なのか、企業型DCが利用できるかどうかによって変わります。私は企業型DCがない会社員なので、毎月23,000円、毎年276,000円を拠出することができます。
これによって拠出したお金は全額、小規模企業共済等掛金控除として所得控除の項目に使えます。所得控除が増えると、納める所得税の額が減ったり、来年度の住民税が減ったりするので、嬉しい節税効果があります。
特徴③ 60歳まで資金ロックされる
これはiDeCoが忌避される要因の1つになっている特徴です。iDeCoに拠出したお金は60歳になるまで基本的に引き出せなくなります。
投資の原則に立ち返ると、投資は当分使う予定のない余剰資金で行われているはずなので、資金ロックされて困るということは考えづらいのではと個人的には思っており、特別デメリットに感じていないです。
特徴④ 出口戦略で結局税金の話が出てくる
iDeCoの運用益は非課税なのは間違いない話ですが、iDeCoの運用が終わり、取り崩すときには国民年金等と同様、年金と同じような税金の話が絡んできます。非課税がウリと聞いていたのに結局税金の話が絡んでくるので、これにガッカリしたりしますよね。
iDeCoの運用が終わった時、出口戦略は3パターンあります。
- パターン1 全額一括で引き出し (退職所得)
- パターン2 年金のように毎月引き落とし (雑所得)
- パターン3 パターン1+パターン2
パターン1を使えば、退職所得扱いになるので、退職所得控除を利用することができます。会社員を辞めた時に受けられる退職所得控除と同じ計算式になるようです。ただし、iDeCoにおいて退職所得控除の計算式で使われる勤務年数は、運用年数に置き換えられます(ただし、拠出している期間のみカウントされます)。
パターン2はいわゆる年金のように、何年間かに分けて毎月受け取る方法です。年金と同じく雑所得扱いになるため、何らかの控除は受けられないかと思います。
特徴⑤ 手数料が高い
iDeCoを利用するためにかかる手数料がネックに感じられるかもしれません。
まず、iDeCoに加入するときに国民年金基金連合会へ2,829円が固定で掛かります。
掛金を拠出して運用すると毎月最低171円、拠出なしで運用すると毎月最低66円掛かります。ここはiDeCoを管理する証券会社により異なりますが楽天証券であれば最安値になります。
そして超痛いのが、iDeCoの取り崩し時の給付作業ごとに費用が発生し、楽天証券であれば440円掛かります。iDeCoを取り崩すときに毎月受取にすると、毎回440円差し引かれるのでかなり厳しい感じがあります。
iDeCoを別会社へ移管するときにも費用がかかり、iDeCoは何をするにしても手数料が細かく乗ってくることになります。拠出額が小さいと運用益も小さいため、これらの手数料に負けてしまうかもしれません。
特徴⑥ 国民年金免除者は拠出できない
iDeCoで掛金を拠出するためには国民年金を全額納めている必要があります。全額・一部にかかわらず免除の特例を受けている人は新たに拠出することができません。また、そうすると特徴④でも書いたように、運用指図者という扱いになります。運用指図者になっている期間は、iDeCoの退職所得控除金額の計算に使われる運用年数にカウントされないため、控除額も小さくなります。
iDeCoはFIREとの相性は微妙
私は所得税の節税対策のためにiDeCoを開始しました。その頃はあまりiDeCoの仕組みを詳しくわかっておらず、節税効果があるならとりあえず早く始めるかという勢いで開始しました。
FIREを30、40代で達成し、そのあと事業所得や給与所得を得ない人である場合、iDeCoとの相性は超絶微妙であると結論せざるを得ないと思います。これらの所得がある人は、iDeCoの相性は悪くないと思います。私はFIRE後に、これらの所得を持つ予定は今のところはありません。
まず、FIRE後に国民年金は免除特例を受ける予定であるため、そもそもiDeCoに追加投入することができません。それにも関わらず、毎月66円の維持手数料が必ずのしかかってくるため、費用だけ支払っている形になります。それ以上に含み益を得られれば相殺できるのですが、それは自分ではコントロールできないため、祈るしかありません。
追加投入できないということは、最初の目的であった節税効果を得ることができません。まぁ、所得税が発生しないので、節約する税金がないので結果オーライなのですが、iDeCoを何のために続けているのかわからなくなってしまいます。途中で脱退することができないというのもここで響いてきてしまいますね。
まとめると、FIRE後にも所得税を納めるような仕事に就くとか、事業を持つとかの人であればiDeCoは価値があると思います。そうではなく、国民年金を免除申請予定の人であれば慎重に考えてもいいかもしれません。
おわりに
2025年末にFIRE予定の身として、iDeCoの出口戦略を具体的に調べていたのですが、調べれば調べるほど自分に取って不利な事実がわかってきました。みなさんは気をつけてくださいね。
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