生活防衛資金の考え方

insurance, home, house 資産形成

資産形成に興味を持ち、さぁ投資をはじめようという時にほぼ必ず出て来る生活防衛資金という概念が出てきます。私は投資を始めて4年くらいですが、生活防衛資金の向き合い方に関して考えが整理できてきたのでまとめてみたいと思います。何となく生活防衛資金を用意しろと言われたから、よくわからず用意しているみたいな方がいたら、共感してもらえたり、向き合い方を考え直すきっかけになればと思います。

生活防衛資金の役割

生活防衛資金が資産形成において果たす役割として2つ押さえておけばいいかなと思います。

役割1 予測不可能な事態への備え

1つ目は、生活防衛資金の字面通り、投資活動中における予測不可能な事態への備えです。

これは投資先として何を選んでいるのかにもよりますが、株式相場は原則として誰も先を読めません。プロでも初心者でも読めません。つまり、投資を行なって資産運用しているときに予測不可能な事態が発生することも予見できます。

予測不可能な事態って何だという話なのですが、予測不可能なので予測できません。というのが正直なところですが、それだと話が終わってしまうので頑張って例を探してみたいと思います。

過去の教訓

まず、過去の株式相場に目を向けて事例を探してみるとヒントを得られます。過去に株式市場は〇〇ショックという大暴落を経験していることがわかります。

  • 1930年代の世界恐慌
  • 1990年代の日本バブル
  • 2008年リーマンショック
  • 2020年コロナショック

などなど、有名どころだけでもいっぱいあります。これらの大暴落の時に株価がマイナス90%になったりだとか、個別株が紙切れになって無価値になってしまったとか、資産価値が大きく損なわれた事実があります。これらの暴落を乗り越えて現代の金融システムはそこまでの暴落率にならないみたいな話もあったりなかったりしますが、何度も言うように株式相場の先行きは誰にも分かりません。この先も同様のレベルの暴落もいつ起きてもおかしくないと思って身構えておく方が健全でしょう。

身辺の変化

次に、自分自身や自分の近くで変化が起きて、大きな出費が必要になる機会に備える役割です。これも同様に予測不可能な事態です。

  • 勤務先がなくなって無職になった
  • 怪我や病気で務められなくなった
  • 両親の介護費用が必要になった

みたいなことです。無職関係は失業保険や傷病手当金などで補填できたりしますが、とはいえ無収入状態から脱出する間の活動資金として生活防衛資金を置いておくと保険になります。介護保険の例は具体的な経験をしたことがないので割と適当に挙げてしまいましたが、近しい人のために大金が必要になってしまうケースというのが起きてしまうかもしれません。

まとめ

予測不可能な事態は予測できないので、どうしても楽観的に捉えがちになります。(自分もそうです)。まさか自分にそんなことが、と準備をしていないときに、運悪く大暴落が起きたり、交通事故に巻き込まれて大怪我をしてしまったり。そんな事が起きたとしても、日常生活をしばらく続けられるだけの無リスク資産をいくらか手元に置いておきましょうね、というのが生活防衛資金の言わんとする役割の1つです。

役割2 リスク資産を取り崩さないため

生活防衛資金の究極の目的は、どんな時であってもリスク資産に手をつけなくても済むようにすることだと思います。予測不可能な事態が起きても、リスク資産を取り崩す事なく、無リスク資産のみでやりくりできるようにするのです。

資産形成をする上で、投資のリターンを下げてしまう行動というのはいくつかありますが、そのうちの1つが不要な売買をしてしまうことです。株価や基準価額が十分上がって含み益があり、目的のために投資したお金を取り崩すというのは良い取り崩しですが、予測不可能な事態が発生して手元に現金がなく、取り崩さざるを得ない状況下で取り崩しを行うのは資産形成上NGです。生活を続ける上で避けては通れないので取り崩さざるを得ないのですが、せっかく市場に晒して複利効果を積み重ねている資産を取り崩してしまうのはもったいないです。運悪く、含み損がある時にそんな状況に陥ったらそれこそ最悪ですね。安値で売却せざるを得ないので、損が確定してしまいます。

生活防衛資金があれば、リスク資産を取り崩す以外の別の選択肢が取れます。生活防衛資金は投資方針を守るために、選択肢を増やしてくれる手段だと思うのです。

生活防衛資金はいくら?

これも生活防衛資金を考えるときによく出るテーマです。ですが、上記の生活防衛資金の意味する役割を意識すると、〇〇万円あれば大丈夫です!という万人に通用する金額というのは誰にも提示できないというのが分かるかと思います。リスク資産を取り崩さずに資産運用をしていく上で必要な無リスク資産の金額は人によって様々だからです。

生活防衛資金を、失業時代を乗り切るために用意するという考え方をすれば、毎月の生活費を何ヶ月分用意すれば安心できるかで目安になると思います。すぐに再就職できそうなスキルや人脈があれば、1年分も2年分も要らなさそうな感じはあります。再就職に時間がかかりそうというのであれば逆に多めに見積もって用意しておくと安心できそうですよね。とはいえ、生活防衛資金を用意しようとすると、なかなか投資を開始できないというジレンマもあります。再就職に時間がかかりそうだけど、投資を早く始めたいので3ヶ月分でいいや!というガッツを持っていれば、それに従っても良いでしょう。自分が納得できるラインを探してみてください。

ちなみに私は、120万円くらいを生活防衛資金として銀行預金に置いています。これくらいあれば、まぁインデックスファンドを取り崩す必要は当面なさそうだよなーっという安心感が得られる金額がこの辺だから、というだけの理由です。

生活防衛資金は必要か

ここは各人の判断になるかと思います。上記の役割に共感が得られないケースも十分ありえると思います。失業しても保険は出ますし、怪我をして働けなくなっても傷病手当金が健康保険から出ます。それに収入が途絶えたり、手元の現金が足りなくなったら、リスク資産を取り崩せばどうにでも乗り越えられます。乗り越えてから再度また投資を再開できればいいだろうというスタイルが腹落ちすることもありえそうですね。

私は投資を始める前は株価の値動きが分からなかったり、暴落が来るかもという不安感から生活防衛資金を持っておくことにしています。本当は最初の生活防衛資金は200万円くらいだったのですが、「いうて暴落とかすぐ来るんか?」「手元に現金寝かせておくのもったいないかも」みたいなモヤモヤが発生して、ちょっとずつ額が下がって120万円に落ち着いています。こんなスタイルでええんか・・・、怪しいですが、いつでも120万円以内の出費なら対応できるし、仕事でブチギレて勢いだけの退職届提出をしても半年近く生活が送れます。120万円は個人的にちょうどいい塩梅かなと。

おわりに

生活防衛資金を何となく用意している・・・みたいな方の参考になったら幸いです。役割に共感して重要性を再認識したり、逆にもっとリスクを取ってもいいかもなと思ってもらってもいいと思います。生活防衛資金の金額も時々見直してみてもいいかもですね。

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