株式投資を使った資産形成において「ミスターマーケット」という人物が登場することがあります。この人物との付き合い方を気をつけないと資産形成が大崩れしてしまうので、注意が必要です。
ミスターマーケットとは
ミスターマーケットは、株式市場に参加している投資家を惑わし、判断を誤らせ、波乱を巻き起こさせようと様々な手を使って投資家に近づいてくる人物です。この人物の術中にかかってしまうと、高値掴みをしてしまったり、安値で狼狽売りをしてしまったり、非常にリスクの大きい投資をして、結果的に資産を減らしてしまうことになります。
この人物は音もなく忍び寄ってきます。いつ訪問して来るかは誰にも分かりません。1度追い払うことができても、懲りずにまたやって来ることでしょう。また訪問して来るタイミングは投資家によって異なります。この人物が訪問しない投資家はいないので、戸締りをきっちりしておく必要がありますよ。
ミスターマーケットには今年1度会った
ミスターマーケットは、今年私のもとに1度やってきました。タイミングとしては6月頃です。
私のメインの投資先であるeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、年初来ぐんぐんと基準価額を上げていき、7月上旬まで基本的にずっと上昇基調でした。4月頃には好調な相場に乗れて、私の資産総額は3,000万円を突破し、マス層からアッパーマス層への移行に成功することができました。株式相場が好調でしたので、同じ株式資産ですが、個別株も相当な熱を帯びていました。NDIVIAの株価がぐんぐん上がり、億り人に一気に成り上がったというようなサクセスストーリーも聞こえて来るようになっていた雰囲気でした。
株式資産以外の資産クラスも同様に好調でした。ビットコインの価値も年初からみるみる上がり、6月頃には1BTC = 1000万円という大台を記録していました。その値上がり幅は凄まじく、暗号資産をポートフォリオに組み込んでいた人は、資産総額をグンと伸ばすことができたのだと思います。
自身の持っている株式資産が好調で嬉しい気持ちはありつつ、半導体個別株や暗号資産を持っていた人も絶好調。インデックスファンドとは異なり、個別株や暗号資産であれば資産が100%、150%増えたような人も。そんな人たちがいることを知り、少し羨ましい気持ちになったときにそれは起きました。
ミスターマーケット「インデックスファンド以外の資産クラスにも投資を始めたらどうだい?」
ミスターマーケットが耳元でこんなお誘いを掛けてきたのです。正直、少し心が揺さぶられました。インデックスファンドでコツコツ資産を増やすよりも、今勢いのある別の資産クラスにも手を出して、さらに資産形成を加速させる方法もあるのかもしれないと、ミスターマーケットが巧みに勧誘してきたのです。
ミスターマーケットはそれらしい言葉を使って投資家に近づいてきます。相場が過熱している事実をかざして、これに乗っからない手はないだろうと提案をしてきます。確かに、少し手を出せばおいしい思いができて、仮に失敗してもリスクはそこまで大きくならないし、期待値が高いのではないかと思わされました。
ミスターマーケットの誘惑を追い払う方法
投資方針を守ること
ミスターマーケットの誘惑は強力です。これに対抗するには当初の投資方針を思い出し、貫くことです。私の投資方針は「インデックスファンドを使って長期分散投資」「資産形成を急がない」です。
ミスターマーケットのお誘いには必ず投資方針に反するような事象が隠れています。冷静にそれを見破り、インデックス投資の長所や強みを思い出し、きっぱりとNOを突き返すことが大切です。
個別株は、財務分析をしたり、会社1つが倒産するだけで価値がなくなってしまうリスクがあり、これは私個人的には呑めるリスクではないこと。暗号資産は、分離課税でなく総合課税になってしまうのが気がかりであること、そして今後も資産価値が高まるかどうかは現時点で判断できないことがあり、やはり私の投資方針に合うものではありませんでした。1つ1つ確認し、やはりこれらは自分の投資方針に合わないことがわかったのでミスターマーケットの勧誘を今回は退けることができました。
ミスターマーケットの正体
あえて、ミスターマーケットの正体をここまで書かずに記事を書いてきました。もうご存知の方も多かろうとは思いますが、ミスターマーケットは、実際の人物ではなく、投資家が非合理的な判断をしてしまったり、投資判断を曲げてしまう要因のメタファーです。
インデックス投資をしていた人が、相場の過熱に当てられて、投資方針から外されてしまったり、リスクのより高い資産クラスに投資を始めてしまうことがありえます。株式相場や社会情勢、またはインターネット上に転がっている煽りや宣伝など、投資家に影響を与えるものはそこいら中に転がっています。これら全てがミスターマーケットと言えるでしょう。投資家の心を揺さぶって、しないと決めていた投資をやってしまうように仕向けるのが上手いのです。すなわちそれが株式市場なのです。ミスターマーケットは株式市場そのものです。
おわりに
FIRE生活を目指し、堅実なスタイルで資産形成を頑張ろうと決めて3, 4年投資を続けてきたと私は自負していました。そういえば今年の6月に少し心が揺さぶられたことがあったなということを思い出し、今思えばまさにこれがミスターマーケットに攻撃を仕掛けられていたのだなぁと思い、記事にしてみました。
ミスターマーケットとの正しい付き合い方は、投資方針を守って誘いを無視することです。そのためには、自分で信じられる投資方針をしっかりと持っておくことが非常に有効だと思います。